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本日、ホームページの全面リニューアルをいたしました。
今後とも、内容の充実を図るとともに、わかりやすく・最新の情報を発信してまいりますので、何卒よろしくお願い申し上げます。
大学に勤めていたころ、気液二相流の研究室で、気液流量を合理的に計測するというのは実験迅速化のため重要なことであった。ご存知のように、オリフィスというのはある程度の計測精度を求めるとレンジアビリティ(計測範囲)が2~3倍くらいしかない。このため、流量のレンジが変わるとオリフィスを交換する必要がある。そこで、実験でオリフィス交換というめんどくさいことをやらずに済むようオリフィスロボットを作った。オリフィスロボットは複数枚のオリフィスを内蔵して外部からの電気信号指示に従い適切なオリフィスを自動でセットする装置で、まあまあ役に立った。フジキンさんに支援して頂いた。売り物にはなっていないが、研究室としては余裕ができ役に立った装置であった。
大地震などの災害が起きた際、人の代わりに点検に行く無線と長さ300mのMIL規格のファイバー通信併用の遠隔操作のクローラロボットを開発した。プレス発表のときタイミングよくクローラが外れて動かなくなり、取材の方に少しお待ちいただいたのは、よく印象に残っている。国交省のトンネル点検用に1台はご購入頂いたが、それ以外のニーズはなく(高かったかもしれない)、開発はやめになった。ただ、これで機械学会関西支部賞を頂いたのはうれしかった。
配電線(電信柱の6600Vの3本の線)が応力腐食で素線断線や場合によっては全断線することがあるということで、はじめは©中部電力さんと開発。数台試験機を納入したが、仕事は別の部署に移管されてそれきりとなってしまった。名古屋や北陸の電力さんではよくフィールド試験をやらせて頂き、そのときの電力流通分野でのいろんな課題を知ることができたと思う。関東の電力さんとも基礎研究までいったが、アルミに変えればそういう問題はなくなるとのことで、残念であった。
配電線作業は高所で危険、夏は耐電の防護しながら大変な作業である。このため、電信柱の上のトランスなどの機器を設置するときに人の力を感知して動いてくれるウインチがあれば楽になるということで、ある電力さんと開発した。当時、作業者の負荷低減ということで配電作業分析とかインテリジェントラチェットも開発した。ただ、こういうものは電力会社さんの工事会社の方にしてみれば、やはり従来の道具がベターとの評価になってしまうのかもしれない。
昨今はデータを大量に集めてビッグデータの解析を活用することが流行っているが、30年前に、量は質になるの思想で、流動する気液二相流の断面内気泡分布を、従来は数点で測っていたものを断面内409点×1msのインターバルで計測し画像化する装置を開発した。計測結果を見ると確かに量は質に変わると思った。当時はデータ収集メモリが足りず、画面のメモリ領域にもデータを入れていた。メモリがふんだんな現在からすると懐かしいが、工夫もしていた。センサは直径0.1mmのプラチナ線を1本1本針のように研磨したあとインチ管内に409本を並べる。プラチナ線研磨装置も自作である。
当時はR32でなく塩素を含むR22であったが、流動試験には蒸気圧が低いR113というフロンを使い流動可視化などの実験をしていた。あるとき、アクリル管にフロン流すと膨潤して困ったことがあった。今考えると当たり前かと思う。
東京三洋電機という会社が群馬県にあって、そこによく行き、流動可視化など開発を一緒にやった。LiBrにセンサがやられ苦労したが、流動を把握して性能を少しでも向上させたり、役に立たない部分を削除してコストダウンする研究開発をしていた。
再処理設備において排ガスからNOxを回収し、再利用することはコスト低減のため重要である。NOxというのは一般には自動車の排ガス中濃度の何ppmという話しか一般にはないが、ここで対象としたのはNOxの液体や100%濃度の気体である。NOxを回収する装置は大変であった。NOxは温度でNO、NO2、N2O4になったりN2O5で結晶化してバルブ固着させたり、PTFEで保護していたつもりがNOxが透過して悪さしたりと大変厄介な物質であり、大変な苦労をした。排ガス中に含まれるNOxと水分を、まず水分をPSAで取り除き、そのあとPSAでNOxを回収する設備である。大赤字出して大変責められたが、七変化する相手だけに仕方ない気がする。因みにNOxの価格は高級ウイスキーと同じレベルであり、それを一回に何トンも使うので、コスト低減効果は大きいのである。
前述の断面内気泡分布計測に加え、流れ方向に100断面のセンサを設置し断面内液体割合(ホールドアップという)の時系列情報を収集。気液二相流の流動形態を3D的に捉える手法としては画期的と自分でも思う。研究室は当時としては進んでおり、流量設定や計測も自分らでほぼ自動化していた。コンプレッサやポンプなど機器設置や架台設置、配管溶接などをやり、熱や二相流にかかわらずいろんな技術を習得できたと思う。気液二相流の流動様式(気泡流、スラグ流、環状流など)に、当時流行ていた「団塊の世代」というのがあり、機械学会から出版された気液二相流技術ハンドブックという書籍の初版の一節に「団塊波流」というのを執筆した。残念ながら改訂版からは抹殺されているのが悲しいところである
光が通らない200℃の液体金属ナトリウム中のものを可視化するため、高温環境中で、それまでは単一のセンサを機械的に操作する方法で可視化する開発が行われていたが、非現実的な時間がかかる。このため、無謀にも400chの2次元超音波センサを提案した。その結果、ある原子力事業会社から開発業務を奪い、その後実証のための開発をやった。その後、400chをすべてレーザ検出にし、ある時点で前述の原子力事業会社のコンベンショナルな2次元センサとブラインド試験をさせられた。結果は負け。社内や客先から攻撃を受けたが、原理的には成立性の高い液体金属中可視化の光検出方式の開発は今でも続いている。
泥水中は光学式カメラが使えないため、連壁掘削などの壁面観測に開発。ベントナイトが混ざったどろどろの泥水中で壁面の凸凹を3Dで見る超音波カメラである。連壁掘削中に150mの深さから地上までの壁面を測定する装置である。いくつかの大手ゼネコンの現場で何度か試験したが、価格合わず撤退。
今ではレーザによる3D計測装置はあたりまえとなり、ハードやソフトも高性能化して性能もよくなり広く活用されているが、30年前にある会社と共同で開発し製品化。もちろん今の製品のように可搬式ではない。顔や足形を計測して商品にしようとしていたことは、今から考えると先進的?それも、とあるスティームとタップ製造会社とやっていた。その会社も素晴らしいと思う。
前述したナトリウム中可視化のマルチセンサは200℃での使用であるが、600℃で超音波流量計や液面計測のニーズがあり対応。測定はできるが耐久性と配管にくっついてしまう対応などが課題であったが、ある方法で解決。
2022.12.31会社設置2周年記念を迎えました。ご支援いただいた方々に感謝いたします。これからもよろしくお願いいたします。武石 雅之